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住まいづくりの周辺

年月の重み

「風土的な建築は流行の変化に関わりがない。それは完全に目的にかなっているのでほとんど不変であり、全く改善の余地がないのである。(「建築家なしの建築」バーナード・ルドルフスキー著)

風土的な建築も、最初から完全であったはずはない。長い時間をかけて失敗を克服し工夫を重ねてきた結果だと思われる。上掲書の最初に地中海地方の典型的な住居の写真が掲載されている。雨が少なく、青く澄み切った空と海に挟まれた地中海地方の斜面に張り付いた白いキュービックな建築群は造形的にも魅力的である。
しかし、高温多湿で雨量の多い日本では、自然発生的には決して生まれてこない形態だともいえる。

ところが現代では、防水材が各種開発され、空調機も各室に設置できるので、お望みならば地中海地方と同じ形状の住居をつくることも可能になった。また、輸入住宅と称して各様式の住宅が建てられている。
しかし、建築をその土地に定着したものと考えるならば、また、何十年かは建ち続けるものと考えるのであれば、流行や小手先の技術を受け入れることに慎重にならざるを得ない。
だが、建築家は、後ろだけを見て設計すればこと足りるわけもなく、同時に将来に向けた夢も追い求めなければならないのだ。そのバランスを保っているかを見極めて欲しい。

古平真のブログ2005・8・13「建築家なしのけんちく」より)


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